検査報告書を外国語のように感じる必要はありません。本稿では27項目検査を項目ごとに解説します——測定方法、数値の意味、不合格が示す内容です。
1. 静的幾何精度(第1〜9項)
1. 主軸ラジアル振れ
測定:テストバーを主軸テーパに挿入、主軸端と300mm先端でレバーゲージ測定。
合格:主軸端 ≤0.005mm、300mm位置 ≤0.015mm(標準級)。
不合格の意味:主軸軸受摩耗またはテーパ損傷。交換費用は本体価格の8〜15%に達することがあります。
2. 主軸軸方向の遊び
合格:≤0.008mm。超過すると端面加工にチャッターマークが出ます。
3. テーブル平面度
測定:精密水準器または直定規+ダイヤルゲージでX・Y・対角方向。
合格:1000mmあたり ≤0.02mm。
4. 直角度(テーブル対主軸、X/Y/Z)
合格:300mmストロークあたり ≤0.015mm。不合格品はテーパ形状になります。
5〜7. X/Y/Z 移動の直線度・平行度
全ストロークをダイヤルゲージでなぞり、案内面の「波」を確認。
8. 主軸軸線とZ軸の平行度
合格:300mmあたり ≤0.015mm。
9. 位置決め精度・再現性(レーザー干渉計)
合格:位置決め ±0.02mm/300mm、再現性 ±0.008mm(標準級)。再現性不良はボールねじの予圧消失が多く、位置決め不良より修理しやすい傾向です。
2. 運動・伝達系(第10〜15項)
10. バックラッシ
レバーゲージで各軸の反転遊びを測定。合格:≤0.01mm(ピッチ誤差補正で一部は補正可、機械的摩耗分は不可)。
11. ボールねじ状態
全ストロークで手感触診:局所的な「引っかかり」は局所摩耗または汚染の兆候。
12. 案内面状態
段差を全ストロークで測定。引き傷・錆を目視確認。
読み方:段差 >0.02mm で仕上面に目視可能な振動痕が残ります。
13. ATC
50回連続工具交換を実施し、失敗回数とサイクル時間の変化を記録。
14. ATC 心出し
交換後の主軸テーパに切粉や工具傷がないこと。
15. 第4軸・回転テーブル(装備時)
多面体+オートコリメータ、または実加工による割出精度確認。
3. システム・機能(第16〜21項)
16. CNCアラーム履歴
過小評価される情報源:過負荷・追従誤差アラームの頻発=伝達系の異常。
17. サーボ負荷電流
各軸をジョグ運転し負荷メータを確認。異常高値は案内抵抗過大または予圧過剰。
18. 主軸熱変位
2時間連続運転で軸受部の温上り ≤25℃で安定すること。
19. 油圧系
圧力安定性、30分間の保圧テスト、外部漏れ。
20. 空圧系
気密性、シリンダ動作速度。
21. 切削液・切りくず搬送
ポンプ流量、コンベア負荷。
4. 電気・安全(第22〜27項)
- 22. 制御盤状態:粉塵、腐食、修理痕(乱雑な配線=危険信号)
- 23. 接触器・ブレーカ:型式一致性、接点の焼損
- 24. エンコーダ・スケール:清浄度と信号安定性
- 25. 非常停止・安全カバー回路:個別動作確認
- 26. 電圧・相順:輸出前に対象国規格を再確認
- 27. 試切削:最も説得力のある項目——アルミ試削+ボールバーまたは典型部品測定
報告書の活用法
不合格項目を3分類します。
- ソフト補正可能(バックラッシ、一部位置誤差)——軽微な交渉材料
- 機械的修理可能(軸受交換、案内面刮ぎ直し)——修理費ベースで交渉
- 構造的問題(ベッド変形、事故歴)——購入断念を推奨
完全な検査サンプル報告書や、候補機械の検査計画が必要でしたらお問い合わせください。